2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J03892
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小寺 諒介 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 量子展開環 / 結晶基底 / カレントLie代数 / Weyl加群 / 箙多様体 |
Research Abstract |
1.アファイン量子展開環の有限次元既約表現の間の拡大の研究を行った.最も簡単な$\mathfrak{sl}_2$の場合に,自明表現との間に非自明な拡大を持つ既約表現を決定した.また,既約表現の自己拡大についても部分的な結果を得た.これらの結果を一般の場合に拡張することが今後の課題である. 2.アファイン量子展開環のパラメータを特殊化したものにあたるカレントLie代数に対して,Weyl加群と呼ばれる表現の研究を行った。ADE型単純Lie代数に付随するカレントLie代数のWeyl加群に対してそのradical列とsocle列が一致することを証明し,その応用としてADE型箙多様体のPoincare多項式を対応するアファイン量子展開環の基本表現の結晶基底を用いて表示する公式を得た.また,同じく応用としてADE型箙多様体に対するKazhdan-Lusztig型多項式と,結晶基底を用いて定義される1次元状態和と呼ばれる多項式とが等しいことを証明した.Weyl加群は量子展開環そのものの表現ではないにも関わらず,その指標を通じて結晶基底と結びつく.今年度の研究により,箙多様体がWeyl加群を通じて結晶基底と結びつくことが明らかになった.これは計画申請当初は予定していなかったことである,申請者が研究計画において述べた,結晶基底を持つと考えられている表現(Kirillov-Reshetikhin加群)は基本表現の一般化にあたるものである.従って今回の結果をより一般のKirillov-Reshetikhin加群に拡張し,箙多様体やその場合のWeyl加群にあたるものとの関連を考察することは,本研究の遂行およびその先の理論の発展において重要であろう.
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