2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタ個体群理論を応用した環境保全型水田地帯における広域的害虫防除法の検討
Project/Area Number |
10J03899
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉岡 明良 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分断化 / 広域的害虫防除 / アカスジカスミカメ / イタリアンライグラス / 斑点米カメムシ / 環境保全型稲作 / 外来植物 |
Research Abstract |
アカスジカスミカメ(以下アカスジ)のメタ個体群の抑制に発生源(牧草地)の分断化が影響しうることはこれまでの研究でわかってきたが、分断化を実際の防除策として適用していくためには、より定量的にその効果を予測していく必要がある。しかし、アカスジ密度の年変動が大きいならば、それを考慮したモデルを構築しなければ、適切な効果の予測ができない。そこで、宮城県大崎市田尻において2008年に取得したデータから、周辺の牧草地面積と牧草の穂密度等からアカスジ密度を予測する統計モデルをベイズ法(予測値の不確実性を視覚化しやすい)によって再構築し、2009年と2010年に得られた牧草地面積と牧草の穂密度データから、該当年のアカスジ密度実測値がどの程度予測できるか評価した。その結果、牧草地の刈り取りが十分に行われなかった2009年では、予測値に顕著なバイアスは見られなかったが、23地点中2地点のアカスジ密度実測値がモデルの95%予測区間を逸脱していた。また、調査地の牧草地の大部分が刈り取られた2010年のデータでは、全ての実測値が95%予測区間内にあったが、5地点中4地点の実測値が予測値より小さい傾向が見られた。以上のことから、年変動の影響は顕著ではないが、考慮した方がよいことが示唆された。 より予測可能性の高いモデル構築のためには、年変動の効果も何らかの観測可能な変数で予測するのが望ましい。2008~10年度のアカスジ密度と7月の気温には対応が見られたため、気象情報を用いることで年変動を予測できる可能性もあるが、正確なモデル構築のためには継続的なデータ収集を要する。データ追加はモデルの精度を上げ、面的な予測を実現可能にするためにも重要と言える。 なお、調査地は東日本大震災の被災地に含まれており、2011年も最低限のデータ収集は行えたものの、期待通りに行えたわけではなく、その処理、集計等にも遅れが生じた。
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[Journal Article] Takada, MB, Yoshioka A, Takagi S, Iwabuchi S, Washitani I (2012) Multiple spatial scale factors affecting mirid bug abundance and damage level in organic rice paddies2012
Author(s)
Takada, MB, Yoshioka A, Takagi S, Iwabuchi S, Washitani I
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Journal Title
Biological Control
Volume: 60
Pages: 169-174
DOI
Peer Reviewed
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