2010 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語聴取能力と聴取時におけるプロソディ情報依存度の分布傾向
Project/Area Number |
10J03901
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中村 智栄 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プロソディ / ガーデンパス文 / 構造的曖昧文 / 音声情報 / 視覚情報 / 眼球運動計測 / 視覚ワールドパラダイム / 自己ペースリーディング |
Research Abstract |
研究内容L2(外国語)学習者がL2言語音声のインプットを理解する際の処理過程を明らかにするプロセスとして、以下の2つのプロジェクトに取り組んだ。 (1)日本語ガーデンパス文処理における視覚情報とプロソディ情報の交互作用について(視覚世界パラダイムを用いた予測的眼球運動計測実験)(2)日本人英語学習者のガーデンパス文処理における動詞の下位範疇情報知識の使用について(自己ペースリーディングタスクを用いた実験) 研究成果(1)について.大学生32名を対象に行った実験により、日本語のガーデンパス文の初分析において,聞き手が文型を正しく理解するための予測的キューとしてプロソディ情報を使うことが示された.(2)について.大学生70名、英語母語話者70名を対象に行った実験により、日本人英語学習者、中でも正しく文構造分析を行った者程英語文を読む際に動詞の下位範疇情報の知識を用いてガーデンパスを回避する可能性が示唆された。 研究の意義と重要性(1)についてガーデンパス文の処理過程におけるプロソディの影響を調べたこれまでの先行研究では、構文上の曖昧性が解消された時点、もしくはその後に観測された現象の報告に留まっていたが、本研究によりガーデンパス文における初分析の段階でプロソディ情報が正しい文型を予測するキューとして用いられることが明らかになった。(2)について.英語教育の分野でネイティブと学習者の文処理の方略の相違が注目される一方、日本人の英語文処理の過程を検証する研究は多く行われていない。本研究では、日本人が英語文を処理する際に動詞の下位範疇情報知識がどのように影響するかを自己ペースリーディングタスクにより検証した。
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