2010 Fiscal Year Annual Research Report
未出版注釈文献に基づくアビナヴァグプタ反省的意識論の研究
Project/Area Number |
10J03962
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川尻 洋平 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アビナヴァグプ / ウトパラデーヴァ / シヴァ教 / 『主宰神の再認識に関する反省的考察』 / 『主宰神の再認識に関する反省的考察注』 / 南インド / 『パラートリーシカー』 / 『パラートリーシカーラグヴリッティ』 |
Research Abstract |
今年度は、シヴァ教一元論における最大の学匠アビナヴァグプタの主著『主宰神の再認識に関する反省的考察』認識章第五日課を、カシュミール出身の注釈家バースカラカンタの『バースカリー』の解釈に基づいて読み進めた。『主宰神の再認識に関する反省的考察』の再校訂テキストについては、8本のシャーラダー写本を用いて作成中である。『主宰神の再認識に関する反省的考察』に対する未出版注釈『主宰神の再認識に関する反省的考察注』の校訂テキストに関しては、マドラス大学の図書館に所蔵されているデーヴァナーガリートランスクリプトの写真撮影を行った。これによって、従来のコピーでは不鮮明であった箇所の読解が可能となった。この写本とトリヴァンドラム大学の図書館に所蔵されているマラヤラム写本のディプロマティックエディションの作成を進めている。また『主宰神の再認識に関する反省的考察注』に頻繁に引用される『パラートリーシカー』および『パラートリーシカーラグヴリッティ』の写本伝承に関する論文を発表した。また「インド思想史研究会」に参加し、国内の研究者の発表を通じて知見を広げることができた。平成23年1月からは、イタリア、ローマ大学のTorella教授の指導の下、研究を続行している。Torella教授の授業では、部分的にのみ現存するウトパラデーヴァ著『主宰神の再認識詳注』を写本を使いながら読み進めている。このウトパラデーヴァの著作は、アビナヴァグプタに至るまでの再認識派の発展を考える上で重要な資料であり、Torella教授の授業を通じて、アビナヴァグプタ以前の再認識派について新しい知見を得ることができた。
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