2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍性抗生物質C-1027クロモフォアの全合成研究
Project/Area Number |
10J04041
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 幸男 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | C-1027 / クロモプロテイン / エンジイン / DNA / 正宗-バーグマン芳香環化 / 抗腫瘍性 / 抗生物質 / 還元的オレフィン化 |
Research Abstract |
抗腫瘍性抗生物質C-1027クロモフォアの全合成研究を行った。まず、すでにESI-MS(HRMS)レベルで確認できた合成品のクロモフォアの各種スペクトルデータが天然物と完全に一致していることを確かめるべく原料合成を行った。すでに開発した合成ルートにおいて各反応条件の最適化を行い、全ての反応において収率の向上を成し遂げたが、中でも3級アルコールのβ選択的グリコシル化、また最終段階で一挙に除去可能な保護基への変換において特に大きく収率を向上させることに成功した。その結果、C-1027クロモフォアから3工程前のエンジイン前駆体を当初計画していた数十ミリグラム単位からその10倍量に相当する数百ミリグラム単位での量的供給に成功した。これにより、その後の9員環エンジイン骨格形成を含む各反応についての充分な条件検討が可能となった。また、収束的本合成ルートの適用によりC-1027クロモフォアのみならず、様々な類縁体の量的供給も充分可能であると考えられる。 得られたエンジイン前駆体から9員環エンジイン骨格の形成を含む3段階の反応を経てC-1027クロモフォアの全合成を試みた。9員環エンジイン骨格形成直後に分子は極めて不安定となり、C-1027クロモフォアの同定はESI-MS(HRMS)スペクトルの観測に留まっているものの、C-1027クロモフォアの芳香環化体については^1H-NMRスペクトルの観測に成功し、その構造が天然物と一致していることを明らかすることができた。
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