2011 Fiscal Year Annual Research Report
2次元導波構造を用いたテラヘルツ帯電磁波面制御の研究
Project/Area Number |
10J04238
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門内 靖明 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員DC1
|
Keywords | テラヘルツ波 / フェーズドアレイ / アンテナ / 導波路 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目標は、100GHzから1THzにかけての極めて高い周波数帯(テラヘルツ帯)の電磁波に対するフェーズドアレイを実現するための基本原理と要素技術を確立することである。 採用第2年目は、初年度に構想した構造をより作製が容易な構造に発展させ、その数値シミュレーションによる検討およびデバイスの試作に取り掛かった。具体的には、一次元的な導波路上にカンチレバーアレイを配置するという新しい構造を提築し、その試作を行った。まず、その予備実験として、非可変なグレーティングを形成して固定焦点が形成されることを確認した。具体的には、一次元導波路上の矩形非貫通穴の一部を金属で埋めることで非可変なチャープ状グレーティングを形成し、それが特定の空間パターンでテラヘルツ波を散乱し、集光レンズとして動作することを確認した。測定は、テラヘルツ時間領域分光測定装置を保有する独マールブルク大学の協力を得て行った。 次に、本来の目的である可変なグレーティングを形成する方法を提案し、その試作に取り掛かり始めた。具体的には、5μm程度の薄いステンレスシートに多数の開口をエッチングすることで、隣り合う開口の境界部に残る支柱を両持ちカンチレバーとして利用することを試みた。実際に、商用のフォトエッチングプロセスを用いて、0.18mm周期のカンチレバーアレイを256本形成することに成功した。また、それを静電気的に駆動するための電極をフレキシブル基板によって作製した。具体的には、256本の各カンチレバーに対して、厚さ12.5μmのポリイミド基板を絶縁層として電圧を印加可能な電極アレイをフレキシブル基板上に形成した。第2年度の末までに、当該構造によりカンチレバーが個別に駆動可能なことが確認された。その動作の安定性を向上させ、一次元導波路と組み合わせることで、テラヘルツ波フェーズドアレイとして動作させることが次年度の最初の課題である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画当初に構想したデバイス構造よりもより実現が容易な構造を提案することができた。また、新たに提案された構造は、作製上の容易さだけではなく、波動を1次元的に閉じ込めることができるという物理的利点から、元の構造が抱えていた波動が2次元的に広がってしまうという課題をも解決できた。これらの点から、当初の計画よりも発展的に研究が進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的に、当初の計画通りに研究を推進する。ただし、当初の計画では最終年度の前半にデバイス開発を終了し、それを利用したアプリケーション開拓へと研究をシフトする予定であったが、それを若干後ろ倒しにする可能性がある。それは、現時点で当初の計画を上回るデバイス開発成果が期待されているため、ここでデバイス開発により多くの時間をつぎ込むことでより完成度の高いシステムを実現することを目指すためである。
|
Research Products
(5 results)