2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J04313
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井ノ口 繭 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 塩類細胞 / ティラピア / ライフサイクル / アポトーシス / 細胞増殖 |
Research Abstract |
成熟した塩類細胞のイオン輸送機能については今まで多くの知見が得られてきた。しかし、塩類細胞が幹細胞や未熟細胞からどのように分化し機能を得るか、また機能を喪失した塩類細胞はどのように死を迎えるかについては研究がほとんど進んでいないのが現状である。そこで本研究では、鰓において塩類細胞の加入、細胞死が起きていることを示すと共に、そのメカニズムを明らかにすることを目的とした。実験魚には多様な浸透圧環境に対して高い適応能力を持ち、イオン調節に関する基礎的な知見が豊富なティラピアOreochromis mossambicusを用いる。淡水中で飼育していたティラピアを塩類細胞のターンオーバーが起きやすいと考えられる海水へ移行し、移行後の鰓を淡水群と比較することで、塩類細胞の加入と細胞死を検証した。 塩類細胞での細胞死を検証するため、アポトーシスのマーカーとして知られているTUNEL法を用いて鰓を染色した。その結果、海水移行24時間後にアポトーシスを起こしている細胞が最も増加することが分かった。次に、塩類細胞の加入を検証するため、細胞増殖のマーカーであるPCNA抗体、BrdU抗体を用いて鰓を免疫染色した。その結果、海水移行群と淡水群で塩類細胞の増殖率に大きな変化は見られなかったが、淡水と海水では異なる経路を経て、塩類細胞が分化することが示唆された。 以上、本年度の研究では、環境水変化に伴った塩類細胞の加入、細胞死の様子を明らかにすることができた。
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