2010 Fiscal Year Annual Research Report
Hisタグ/Ni(II)-NTAペアによる細胞発現タンパク質のラベル化技術の開発
Project/Area Number |
10J04346
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内之宮 祥平 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | タンパク質ラベル / 細胞内ラベル / Hisタグ / Ni-NTA / 細胞膜透過性 / キャリアーペプチド / Oligo Arg配列 / Oligo His配列 |
Research Abstract |
本研究では、オリゴヒスチジン(Hisタグ)とnitrilotriacetic acid(NTA)のNi(H)錯体との相互作用を利用し、共有結合により機能性分子をラベル化可能な「Hisリアクティブタグ」の開発を行った。本ラベル化法では、Hisタグと特異的に共有結合可能な小分子プローブを設計した。これはHisタグとの相互作用部位としてNi(II)-NTAを、反応部位としてクロロアセチル基を有する。一方、Hisタグ末端には求核性の高いシステイン(Cys)を導入した。即ち、プローブとHisタグとが相互作用することによりHisタグ上のCysとプローブのクロロアセチル基が近接しSN2反応が加速され、Hisタグ上にプローブがラベル化される戦略である。Hisタグモデルペプチド(WACHHHHHH)とプローブとの反応をHPLCにより追跡し、Hisタグペプチドへの迅速なラベル化を確認した。このラベル化はNi(II)を錯化させていないプローブでは進行しなかったことから、このラベル化がペア間の相互作用に基づいて進行することが分かった。次に、Hisリアクティブタグを導入したEGFPに対してプローブを反応させSDS-PAGEにより追跡したところ、プローブはタグ導入EGFPに対して高効率でラベル化することが分かった。最後に本ラベル化法の細胞内での適用を目指したが、プローブは細胞膜透過能を有さないことが分かった。そこで、プローブを細胞内に移行させるために、Oligo His配列に膜透過性ペプチドであるOligo Arg配列を、親水的なリンカーを介して連結させたペプチド(WAH6GSGSGSGR8)をキャリアーとして用いた。その結果、プローブは細胞内に移行し、細胞内に発現させたHisリアクティブタグ導入タンパク質の選択的なラベル化に成功した。
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