2011 Fiscal Year Annual Research Report
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10J04471
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
島袋 梢 東北大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1) (40735247)
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Keywords | デング / 気象 / 降水 |
Research Abstract |
本研究では、デング熱感染症の発生に影響を与えると考えられている気象を解析し、影響を与える特定の気象パターンを見つけだす事を目的としている。特に、デング媒介昆虫の生態学的特徴から、本研究では新たに、無降水も影響を与えていると考えている。 本年度は、デング熱が流行しているアジア地区を中心に気象データを収集し、その解析を試みた。最初に参照した気象データ(日本の気象業務支援センターのデータ・アメリカ海洋大気庁)は欠損値が多く、予想に反してデータを用いての解析が難しい事が分かった。そのため、現地からデータを収集することを試み、既に入手できているデング熱患者の疫学データと同地域を収集対象とした。最終的にはカンボジア国より、7地域最大15年の気象データ(降水量・温度・湿度)が入手できた。同国の流行状況について疫学的データを検討し、先に入手できた2地域のデータを元に気象データの解析を行った。月や年平均の降水量・気温・湿度の大きな違いは見られなかった。特に、本研究で仮説している無降水との関連性も、月別の無降水日数で検討したが大きな影響は見られなかった。新たな試みとして、今までとは異なる解析方法を模索した。温度と湿度の平均値を12カ月ごとの偏差値に計算して行ったところ、湿度の値がデング熱患者発生の前の年に大きく下がり、流行年に前年度に比べて大きく上がる傾向がみられた。患者発生よりも前の兆候で流行が左右されるとなると、患者発生のリスクを事前に把握することが可能となる。今後、対象地域を増やしながら比較しつつ、現在の仮説である無降水も検討しながら、新たな傾向についても検討していく必要がある結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
気象データは現地より入手することができたので、気象データの詳細な解析については今後期待できる解析を行うことができるが、今年度はフィールドに行けなかったことにより、野外サンプルのデータが足りない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は入手できた気象データと疫学データを元に解析を進める。現時点で十分なデータ量が入手できたので、次年度は統計解析を実施し、患者発生に影響を与える気象要因の解析を進めていく。問題となっているフィールドデータに関しては、同様の研究を進めている研究者からの情報によると難しい面も多いとの意見を得ていることから、慎重に進めていたいと考えている。使用する試薬や抗体を変えて検討していく事も今後検討したい。また、自然環境下で蚊集団の動態を解析するのは他要因の影響もあることから難しいので、飼育環境下で模擬環境を作り出し、実際に想定される気象環境を作り出し、動態の変化を調べる予定である。
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