2011 Fiscal Year Annual Research Report
都市空間の飛雪現象及び積雪によって変化する対流・放射環境の総合的数値予測法の開発
Project/Area Number |
10J04770
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大風 翼 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 積雪環境 / 飛雪現象 / 雪の堆積/浸食 / 雪面熱収支 / 融雪現象 / 連成解析 / CFD / 低温風洞実験 |
Research Abstract |
1) 市街地モデル周辺の積雪環境把握のための風洞実験 ・申請者が新たに開発する「積雪環境」の数値予測モデルを構成する、雪の飛散・堆積モデルの予測精度検証のための低温風洞実験を防災科学技術研究所雪氷防災センター新庄支所にて実施した。 ・吹雪境界層を対象とした実験から、雪粒子が流れ場へ及ぼす影響を定量的に把握するとともに、風速と単位時間に単位幅を通過する雪の質量流量の関係を明らかにし、数値モデルの予測精度検証のための実験データを蓄積した。 2) 積雪時の対流・放射場予測のための数値モデルの構築 ・都市・建築空間の複雑な流れ場で雪の飛散の予測が可能な吹雪モデルに前年度に開発を行った雪粒子が流れ場へ及ぼす影響を再現するサブモデルを組み込んだ。 ・1)の風洞実験を再現した数値実験を実施し、上記のサブモデルに含まれるモデル係数を最適化した。 ・さらに、上記の吹雪モデルに雪面の熱収支により融雪の効果を表現する融雪モデルを組み込み、積雪時の対流・放射場の「積雪環境」を予測可能な数値モデルのプロトタイプを構築した。 3) 市街地モデルを対象とした数値解析 ・上記の2)で開発した「積雪環境」を予測する数値モデルのプロトタイプを用いて、単体建物周辺の飛雪現象の数値予測を行った。既往の野外観測結果と比較を行った。 ・解析結果と既往の野外観測結果との比較から、雪面からの再飛散を表現する推定式のモデル係数の再チューニングを行い、概ね実測結果を再現することができた。 ・建物を4棟並べたモデル街区を対象に、数値解析を行い、南面でより多く融雪エネルギーが得られる現象や壁面の影響により建物壁面近傍で融雪がより進行する様子を再現できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、雪粒子が流れ場へ及ぼす影響を再現するサブモデルを開発するとともに、これまでに研究代表者らが開発してきた飛雪モデルと対流・放射連成システムを考慮した雪面の熱収支モデルや融雪モデルを連成した「積雪環境予測」モデルのプロトタイプの構築まで、終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに開発した「積雪環境予測」モデルのプロトタイプを用いて、観測・実験や既往の観測等を対象とした「積雪環境」の数値予測を行うことで、新たな予測手法の精度検証を引き続き行う。 続いて、市街地モデルを対象に、建物の隣棟間隔等を変更したパラメトリックスタディを実施し、積雪分布や融雪エネルギーの分布の変化を把握するとともに、解析結果の分析を進め、都市・建築空間の積雪環境を形成する対流・放射の相互作用のメカニズムを明らかにする。
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Research Products
(11 results)