2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J04810
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
久野 雄介 広島大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 写像類群 / モノドロミー / Goldman Lie代数 / Johnson準同型 |
Research Abstract |
射影空間に埋め込まれた非特異射影多様体を、適切な次元の平面たちで切断してできる代数曲線族の位相的モノドロミーについて、ディスクリミナントの補集合の基本群と曲面の写像類群の比較という、相対的な立場からの研究を行っている。今年度は、消滅サイクルの研究、特に消滅格子の非可換化の構成を目指して、まず曲面群の二階のべき零商のレベルで考察を行った。その過程で、以下の結果が得られた。 1)Goldman Lie代数とKontsevichのLie代数の密接な関係を明らかにし、応用として、Dehnツイストの曲面群の完備化への作用の代数的に記述を完全に与えた。Dehnツイストは、消滅サイクルのモノドロミーに対応する写像類群の基本的な要素である。 2)上述の二つのLie代数の対応のもう一つの応用として、ある無限種数曲面のGoldman Lie代数の中心を決定した。これは、Etingofにより解決されたChas-Sullivan予想の類似である。 3)二つのLie代数を対応させるために、曲面群にシンプレクティック展開と呼ばれる、ある種の座標を導入する必要がある。この座標の初等的構成法を与えた。 4)二階のべき零商についての考察から、任意の閉ループに対し、そのループに沿うDehnツイストが定義される。更に高次のべき零商への作用を見ることにより、この操作が、単純とは限らないループに対しては写像類群の要素を与えないことを示した。 また,以上の事柄についての論文を執筆し(4)については執筆中)、研究発表を行った。
|