2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J04810
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
久野 雄介 広島大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 写像類群 / モノドロミー / Dehnツイスト / Goldman Lie代数 / Johnson準同型 |
Research Abstract |
射影空間に埋め込まれた非特異射影多様体を、適切な次元の平面たちで切断してできる代数曲線族の位相的モノドロミーについて、ディスクリミナントの補集合の基本群と曲面の写像類群の比較という、相対的な立場からの研究を行っている。今年度は、昨年度に得られた、「Dehnツイストの一般化」という概念に関する研究を集中的に行った。曲面の上の単純とは限らないループに対し、それに沿うDehnツイストというものが定まり、これを一般Dehnツイストと呼ぶ。 (1)一般Dehnツイストの持つある種の局所性に着目し、基本亜群への作用に対するDehn-Nielsen埋め込みの枠組みにおいて、一般Dehnツイストの定義を境界を持つ任意の一般の曲面上に拡張した。また、一般Dehnツイストの局所性と相補う、ある種の切り貼りの議論を確立した。 (2)曲線の自己交叉を測るある写像を導入し、一般Dehnツイストが写像類群の要素を与えるかという問題への応用を与えた。昨年度得ていた8の字ループ以外にも、写像類群の要素を与えないループの例が多く得られた。これらは、写像類群のJohnson写像の像に対する新しい障害を与える。 (3)一般Dehnツイストの三次元多様体論からの解釈、特にホモロジー同境との関係の解明を試みた。 その他、昨年度の研究の継続として、Goldman Lie代数とKontsevichのLie代数の関係を研究した。Goldman Lie代数の持つTuraev余括弧積と呼ばれる余括弧積を参考にし、KontsevichのLie代数が自然な余括弧積を持ち、双Lie代数の構造を持つことを示した。この二つの余括弧積は適合していないことが判明したが、その理由については現在考察を進めている。
|