2010 Fiscal Year Annual Research Report
アクセントとイントネーションの離散性と連続性に関する実験研究
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10J04891
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宇都木 昭 独立行政法人理化学研究所, 言語発達研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 音声知覚 / アクセント / 無アクセント方言 / イントネーション / 近赤外分光法 / 事象関連電位 / 音声学 / 心理言語学 |
Research Abstract |
当初の計画通り,アクセントに関してSequence Recall Taskと呼ばれる行動実験を,共通語話者および無アクセント方言話者を対象として実施した。この実験は,最初に被験者に刺激音と数字を対応付ける学習を行わせたのち,被験者に刺激音を連続して聞かせ,回答させるというものである。記憶の負荷を高めることで刺激音の音響的特徴を捉えにくくし,音韻的対立を反映した結果が得られるようにデザインされている。実験の結果,アクセントに関して音韻的対立を持つ共通語話者と音韻的対立を持たない無アクセント方言話者では異なる結果が得られた。このことは,Sequence Recall Taskの有効性を示すものであり,今後のイントネーション研究への応用が期待される。 また,近赤外分光法の実験を開始した。被験者群は上と同様である。近赤外分光法は脳機能測定法の一種で,とりわけ脳活動の左右差を調べる上で有効である。これまでの先行研究で,韻律に関しては主に右優位の脳活動が示されるという報告がある一方で,日本語のアクセントに関しては左優位になるという報告がある。アクセントの弁別的対立がある方言とない方言の話者を比べた本実験においては,話者群間に違いが現れることが期待される。実験は現在進行中であり,次年度に結果をまとめる予定である。 さらに,事象関連電位を測定する実験も開始した。関連する先行研究として,共通語話者を対象として本研究チームで行ったものがある。これと同一の方法を用い,無アクセント方言話者として実験を行った。こちらも現在進行中であり,次年度に結果をまとめる予定である。
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