2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J05022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 寛人 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNA構造 / 光同期 / 分子コンピューティング |
Research Abstract |
DNAやRNAを用いた分子コンピューティングは、微小性、分子親和性、超並列性の点で生体コンピュータの実現に有望な手法である。本研究では、DNAを用いた個々の計算処理の非同期性により、全体の処理が複雑化する問題にたいし、光制御技術の導入による分子反応の同期手法の開発を目的としている。具体的には、光入力の記憶デバイスをDNA実装し、そのデバイスを演算モジュールに接続する。入力信号に応じ、演算モジュールをON状態にスイッチさせることで各演算処理の開始タイミングを制御し、同期処理が実現できる。 本年度は、DNA構造を用いた記憶デバイスの実装スキームについての検証と、記憶デバイスと演算モジュール間の信号接続法について検討した。記憶デバイスとして、DNA構造体内に光応答DNAによる構造変化が組み込まれたナノスケールポジショナーを構築した。 光応答分子をDNA構造に導入することで、光の最終入力を記憶してその構造が変化し、DNA構造体内の7nmの2点間をDNA分子が移動する1連の動作を実証した。記憶できる入力数を追加するために、光の照射条件に応じて変化を誘起するDNAの種類を増やし、実験によって入力数を確認した。その結果、誘起するDNAどうしの結合反応が原因で予期せぬ構造変化が発生したため、複数の機能デバイスを接続利用する形態として再検討していく。 次に、記憶デバイスと演算モジュール間の信号接続のために、DNAの分子状態を検出するDNAナノ定規を構築した。対象DNAの長さに依存するナノ定規との結合によって、演算モジュールへの入力形態である1本鎖DNAが出力される。0nmから12nmの長さの7種類のDNA分子を対象とした測定実験において、複数の蛍光分子の蛍光スペクトル情報から、対象DNAの長さと一本鎖DNAの出力濃度の情報を得ることに成功した。
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