2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J05022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 寛人 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分子コンピューティング / オートマトン / DNA塩基配列 / DNA配列置換反応 |
Research Abstract |
DNAを用いた分子コンピューティングは、微小性、分子親和性、超並列性の点で生体コンピュータの実現に有望である。本研究では、DNAを用いた個々の計算処理の非同期性により、全体の処理が複雑化する問題に対し、光制御技術の導入を可能とする光・分子融合型超小型プロセッサの開発を目的としている。光の高い時空間制御性能を駆使し、特定の分子反応の時間や空間を光の信号入力を介して指定することで、光による簡便な分子並列処理を実現できる。これまでオートマトン(計算処理を抽象化したモデル)に着目し、光とDNAを用いた実装方式について検討してきた。昨年度、DNA構造体内での処理完結のためナノスケールポジショナーを構築した。構造体内の7nmの2点間をDNA分子が移動する1連の動作実証により、オートマトンについての基本的な動作は実装できたが、より高度な処理を実現するための拡張性について課題を残していた。 そこで本年度は、オートマトンの拡張性を考慮した新たな方式について検討した。具体的には、オートマトンの内部状態をDNA塩基配列に割り当て、多数の内部状態数を得る。状態数増加に伴うDNA反応系の複雑化を考慮し、DNA配列置換反応を導入した構成を示した。この導入により、個々の構成要素を単純化できた。この構成では、構成要素に対応する反応ユニットを溶液分散させ、オートマトンを実装する。分子実験において、個々の反応ユニットを組み合わせた数種類のオートマトンの状態遷移動作に成功した。
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