2012 Fiscal Year Annual Research Report
家族性もやもや病の分子発症機構の解明および一次予防の確立
Project/Area Number |
10J05192
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 果 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | もやもや病 / 脳血管疾患 / 遺伝解析 / mysterin / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
本研究課題ではもやもや病の多発家系を用いて家族性もやもや病の責任遺伝子を特定すること、細胞生物学的解析と遺伝子改変動物の作成により遺伝子の機能を明らかにすることで発症機構の解明を行うことを目的とする。 24年度は、昨年度もやもや病感受性遺伝子として同定したmysterin(RNF213)遺伝子のノックアウトマウスの作成と形質の評価を主に行った。近年のもやもや病と糖尿病の合併性を示す報告より、mysterinの機能を明らかにするために、mysterin欠損が糖尿病モデルマウスに与える影響を検討した。具体的にはmysterinを欠損するノックアウトマウス(mysterin-/-)を作成した後、小胞体ストレスによる糖尿病モデルマウスであるAkitaマウス(Ins2+/C96Y)と交配を行い、mysterin KO/Akitaマウス(mysterin-/-,Ins2+/C96Y)を得て糖尿病に関連する形質の解析を行った。その結果、mysterin欠損はAkitaマウスの血清および膵島インスリン量を増加させることで、摂食量の低下、小胞体ストレスの低下を通じて糖尿病を改善することが示された(Biochem Biophys Res Commun 2013)。小胞体ストレス応答の1つとして、異常タンパク質の分解を促進する小胞体関連分解(ERAD)がよく知られている。Akitaマウスの膵β細胞ではERADにより異常プロインスリンのみならず正常プロインスリンの分解も促進していることが報告されており、mysterin欠損はERADによるプロインスリン分解を抑制する可能性がある。本研究は、mysterinがERADに重要な役割を果たす可能性を示唆しており、今後さらに検討を重ねることでmysterinの機能の一端が明らかにできることが期待できる。
|
Research Products
(9 results)