2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖連結光線力学療法用光増感剤の開発と臨床応用へ向けた非臨床試験
Project/Area Number |
10J05214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 佑希 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光線力学療法 / 糖 / クロリン / フラーレン / ロジウム / ルテニウム / ケテン / エチレン |
Research Abstract |
糖は医療用化合物に導入することにより、毒性の軽減・水溶性の向上等の機能を誘起することが期待される。本研究では、「がん」の治療法として注目されている光線力学療法(PDT)のための新規糖鎖連結光増感剤の開発と評価を行った。まず、新たに合成した糖鎖連結フッ素クロリン誘導体は、卵巣がん細胞に対して極めて高いPDT効果を示し、糖鎖の導入による暗所毒性の軽減が認められた。次に、フラーレン誘導体は、ポルフィリンやクロリン誘導体よりも高効率に一重項酸素を生成することが知られていることから、本研究では、窒素を介した糖鎖連結フラーレンと炭素を介した糖鎖連結フラーレンを新たに合成し、膀胱がん細胞に対するPDT効果を明らかにするとともに、一重項酸素生成ダイナミクスを明らかにした。以上の研究により、糖鎖連結クロリンおよびフラーレン誘導体は、いずれも新しい光線力学療法(PDT)剤としての利用が可能であることを示した。 一方、次年度の「PDT評価」に関する研究の継続が困難となったため、本年度は、本研究課題の前段部分であるPDT効果が期待できる「新物質・新規増感剤の触媒的高効率合成法の開発」に関する研究を並行して行った。まず、ロジウム錯体触媒を用い、ケテン類とイソチオシアナートからロダニン誘導体が一段階で高収率、高選択的に合成可能であることを明らかにした。ロダニン誘導体は、糖尿病薬や病理検体の銅検出薬として広く医療現場で用いられている化合物であるとともに、最近では、色素増感太陽電池への応用も検討されている極めて重要な化合物である。さらに、ロジウム錯体触媒を用いるケテン類とアルキンとの交差カップリング反応において、ケテン類の構造により、ジエノン誘導体とフラン誘導体がそれぞれ選択的に得られること、およびルテニウム錯体触媒を用いるエチレンの高選択的三量化反応の開発に成功した。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Phototoxicity and Biological Activity of S-Glucosylated Fluorochlorin in Ovarian Cancer2010
Author(s)
Yuki Yoshida, Hiromi Ohi, Masami Naemura, Kazuhiro Moriwaki, Ryoto Tsujii, Haruo Akashi, Takashi Shibahara, Hiroko Endo, Masahiro Inoue, Akio Toshimitsu, Shigenobu Yano
Organizer
The 2010 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (Pacifichem 2010)
Place of Presentation
Hawaii Convention Center (Honolulu, U.S.A)
Year and Date
2010-12-19
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