2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J05254
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
今野 晴貴 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 派遣労働 / 労働市場政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、労働者からの聞き取り調査を中心に、労働市場政策の有効性について、マクロ統計では把握しきれない制度の運用実態の分析から新しい視角を加えるものである。そこで、本研究では以下の課題に取り組むこととしている。 1、日本の労働市場政策の歴史的研究(制度研究) 2、製造業派遣・請負労働者からの聞き取り調査(制度の運用に関する研究) 3、調査結果の分析 まず、平成23年度の研究においては、平成22年度に引き続き、「2」製造業派遣・請負労働者からの聞き取り調査(制度の運用に関する研究)について研究を実施した。製造業派遣・請負労働者へのヒアリングは、彼らの流動的な雇用形態を反映して困難であるが、関西方面への継続的な出張によって、訴訟、労働争議に発展している事例の当事者・支援者等との関係維持に努めた。また、今期は労働相談を専門に行なうNPOの協力を得て、相談ケースの収集・分析を多数行なった。相談票のケース数は、400件超である。これらのケースからは、労働政策の実際的な効果を検証する上で示唆に富む実例・データを得ることができた。特に、広汎な労働紛争の事例検討からは、派遣労働者をはじめとする非正規雇用に対する政策が、正規雇用を含む労働市場の全体状況においてどのような意義を持ちうるのかについて、重大な示唆をえることができた。 これらに加え、平成23年度は調査結果の分析(「3」)を行い、学会(関東社会学会、日本労働社会学会)にて報告を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
労働市場政策の有効性を検討するための資料収集は順調に進んでいる。これらの資料の分析についても、二度の学会報告を含め、一定の進捗がある。問題は歴史的な展開の中でこの分析をどう捉えるかであるが、これは平成24年度に検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
労働市場政策の有効性を検討する上での各種実証資料の収集を継続する。また、これらを分析し、学会報告や学会論文にて発表することを通じて検討を深める。さらに、社会政策史の中でこれら実証的なデータ・分析を位置づけることで、実証の意義を深めていく。 この間の重要な変更は、海外における政策との比較を縮小し、日本国内の歴史分析を通じた、通時的な比較に重点化する方向性への転換である。
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