2010 Fiscal Year Annual Research Report
1930-50年代ソ連および日本における物理学をめぐる哲学議論
Project/Area Number |
10J05450
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金山 浩司 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 弁証法的唯物論 / イデオロギーと科学 / スターリニズム / 物理学の哲学 / 国際情報交換 / ロシア・ソ連 |
Research Abstract |
研究課題のうち、ソ連に関する部分の研究を推し進めた。モスクワに長期滞在し、図書館・文書館資料を調査しつつ、前年に執筆完成させた博士論文を補強するため、スターリン時代のソ連物理学哲学論争に関わる社会史的側面について考察した。具体的には、たとえば、ロシア科学アカデミー文書館に所収されている、ソヴィエト物理学の父とも呼ばれる物理学者・科学研究機関組織者であったアブラム・ヨッフェの個人ファイルを調べ、彼の社会的活動-哲学論争への関わりも含めた-について調査している。また、ロシア人科学史家との交流も深化させた。特に、研究分野を近しくする、ロシア科学アカデミー自然科学史・技術史研究所の物理学史セクター長、ヴラディーミル・ヴィズギン博士と、自らの研究課題に関する見解-物理学哲学論争史を、イデオローグによる物理学者集団への単なる抑圧と見ることから離れて、その積極的・哲学的側面を摘出するべきであるという-について討論を重ねている。同様の見解を、11月に行われた同研究所の年会において口頭発表し、これは出席した物理学史家たちの間で活発な議論を引き起こした。同様の発表を、12月、日本においても行っている。 博士論文の一部をなす、1930年代論争における代表的なイデオローグと電気工学者-同一陣営に属するとみられることが多い-の間にあった齟齬・対立についての実証的研究成果を、単著論文にまとめ、『科学史研究』誌に投稿した。これは査読を経て、12月発行の号に掲載されている。
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Research Products
(5 results)