2010 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエにおける抗ウイルス自然免疫分子機構の解析
Project/Area Number |
10J05695
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石川 裕規 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 自然免疫 / ショウジョウバエ / バキュロウイルス |
Research Abstract |
自然免疫は、細胞が病原体由来の分子構造を認識し、病原体を排除する生体防御機構である。近年の研究により、自然免疫に関わる様々な因子が同定されているが、そのシグナル伝達および病原体排除機構において未知の部分が多く残っている。そこで、本研究では、自然免疫の包括的な理解を目指して、DNAウイルス感染に対する自然免疫の制御因子を同定する。具体的には、モデル生物であるショウジョウバエのゲノムワイドRNAiライブラリーを用いて、昆虫特異的DNAウイルスであるバキュロウイルスの増殖抑制に関わる宿主因子の探索を行う。本年度は、スクリーニングに用いるレポーターウイルスとして、バキュロウイルスにLuciferase遺伝子を組み込んだ組換えウイルスを作製した。作製した組換えバキュロウイルスは、ショウジョウバエ由来の培養細胞に感染し、Luciferaseを発現することが確認された。興味深いことに、ショウジョウバエ細胞におけるバキュロウイルス遺伝子発現は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を加えることにより促進されることが明らかとなった。このことは、バキュロウイルスの遺伝子発現はショウジョウバエ細胞においてヒストン脱アセチル化を介する機構により増殖が抑制されることを示唆する。今後早急に、ヒストンを介した抗ウイルス因子を含む未知の宿主因子を同定するために、ゲノムワイドRNAiスクリーンによりウイルス増殖抑制に関わる因子を網羅的に同定する予定である。
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