2011 Fiscal Year Annual Research Report
多段相変化型単一合金薄膜を用いた多値記録不揮発性メモリの開発
Project/Area Number |
10J05810
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊藤 雄太 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 相変化メモリ / 相変化材料 / カルコゲナイド / アモルファス / 結晶化 / 多値記録 |
Research Abstract |
本年度は、GeTe化合物にSiを添加したときの結晶化挙動や、プラズマ酸化処理の影響について調査した。また、メモリセルを試作し、基本的な動作の確認を行った。 GeTeにSiを添加すると、Si添加量が増えるにつれて結晶化温度も上昇することがわかった。結晶化温度はアモルファスの相安定性の指標であるので、Si添加はアモルファス相を安定化させるのに有効であることがわかった。Si添加により結晶化温度が上昇した原因をXPS(X線光電子分光法)で分析したところ、アモルファス中のGe-Te結合の一部が、より結合エネルギーの高いSi-Te結合に置き換わったためであることがわかった。 このGeTe-Siを室温、大気中に保持すると、表面にSi酸化物を形成し、そこから優先結晶化する現象を発見した。また、酸素ガスも用いたプラズマ処理を行っても、同様に表面でSiを酸化させることに成功した。このSi酸化物を利用した優先結晶化により、電気抵抗の二段階変化と、結晶化速度の向上という二つの現象を実現することができた。電気抵抗は、薄膜すべてがアモルファス状態のとき、表面層だけ結晶化したとき、膜全体が結晶化したときという、3つの抵抗状態を持つことができる。多値記録を行うためには、抵抗状態が3つ以上必要であるので、これらの結果は多値記録の可能性を示唆している。また、結晶化速度はデバイスの動作速度を決めるものなので、優先結晶化を利用した結晶化速度の向上は応用技術として非常に有益であることがわかる。 試作したメモリセルで電流-電圧特性を測定したところ、典型的なメモリスイッチングを示した。また、電圧パルス印加によって、アモルファス相と結晶相とを繰り返し変化させたところ、100回の繰り返しを行っても十分な抵抗差を維持できたため、本研究で作製したメモリセルは、基本的な電気特性を測定することが十分可能であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的は、抵抗が多段階で変化する合金を設計し、その合金を用いてメモリセル作製を行い、多値記録実現することである。GeTe-Si合金において、表面をプラズマ酸化することで抵抗が二段階になることを見出した。また、メモリセルを試作したところ、電気特性の測定は可能であることが確認できた。抵抗が二段階になる合金の発見と、メモリセルの動作確認から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はGeTe-Si合金でメモリセルを作製し、多値記録の可能性を評価する。また、現在はGeTe-Si合金以外に、GeTe-CuTe擬二元化合物の研究を進めており、興味深い結果も出始めている。今後はGeTe-CuTe合金の相変化挙動や、メモリセルの特性などを体系的に調査する予定である。
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Research Products
(7 results)