2011 Fiscal Year Annual Research Report
花粉管誘引物質群LUREsの受容体同定による花粉管ガイダンス機構の解明
Project/Area Number |
10J05954
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥田 哲弘 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 植物 / 生殖 / 花粉管ガイダンス |
Research Abstract |
被子植物の受精において、花粉から伸びる花粉管細胞は複雑な雌しべ組織の中で迷うことなく、卵細胞のある微小な領域へ正確に誘導される。この花粉管ガイダンスという現象において、花粉管誘引物質LUREsは最も重要な雌側の鍵因子の1つである。本研究では、花粉管が誘引物質LUREsを受容・応答する機構を解明するために、LUREsの受容体を同定することを目指している。23年度は、受容体候補タンパク質の遺伝子を同定するための基盤整備として、次世代シーケンシングを用いて遺伝子発現データベースの構築をおこなった。また、花粉管に加え、花粉、胚珠、子房壁、柱頭、花柱、花糸といったさまざまな組織の遺伝子発現解析もおこなった。これらの発現データベースは、受容体の同定のみならず、今後の生殖分野の研究にも有用であることが期待される。さらに、受容体候補タンパク質の質量分析をおこなうとともに、花粉管のプロテオーム解析をおこない、前述のトランスクリプトーム解析と合わせることで、候補遺伝子の絞り込みを進めた。 これまでの知見から、誘引物質LUREの受容体は花粉管先端に存在することが示唆されている。そこで、効率的に高純度で花粉管先端を回収するため、ナノ工学技術を取り入れ、花粉管先端回収デバイスの共同開発に取り組んだ。この技術開発は、これまでの解析の限界を克服することを目指しており、工学技術との融合による新たな解析技術の創出と生物学のさらなる進展が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は、花粉管を含むさまざまな組織の遺伝子発現データベースの構築をおこなった。これらの発現データベースは、誘引物質受容体の同定のみならず、今後の生殖分野の研究にも有用であることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
まず生理学的解析により、花粉管のLUREsに対する受容・応答機構における母体効果について明らかにする。また、花粉管のトランスクリプトーム解析、プロテオーム解析を比較することで、受容体タンパク質の候補遺伝子の絞り込みを進める。これらの結果と質量分析を利用して、受容体候補タンパク質の遺伝子を同定していく。
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Research Products
(5 results)