2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J05973
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
阿部 順紀 慶應義塾大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 臓器再生 / 血管形成 / せん断応力 / 内皮細胞 / 葉状仮足 |
Research Abstract |
臓器再生を実現するためには、再生組織内へ酸素や栄養を供給する血管を形成する必要がある。特に、再生された3次元組織中に深く侵入するような3次元血管様構造を形成させる必要がある。しかしながら、血管形成の過程は非常に複雑であるため、血管形成の制御因子は未だ不明な点が多い。近年、血流に起因するせん断応力刺激が血管形成に重要な役割を果たしていることが知られてきた。本研究では、せん断応力の周波数と大きさを制御することにより、血管様構造が3次元的に深く侵入するせん断応力の最適条件を調べた。さらに、せん断応力による血管様構造の形成にはせん断応力が直接作用している内皮細胞の移動能力が重要であると考え、内皮細胞の移動能力の指標である葉状仮足の形成と深さ方向へ血管様構造の形成の関係を調べた。コラーゲンゲル上に内皮細胞を播種したモデルを、平均せん断応力が0.28、0.48、1.0Paの定常流及び拍動流(1.0、2.0Hz)の環境下で48時間培養し、3次元血管様構造の形成過程をタイムラプス位相差顕微鏡により記録した。また、48時間後には共焦点レーザ顕微鏡を用いて、3次元的な形態を比較した。その結果、生体外において内皮細胞に周波数や大きさが異なるせん断応力を負荷させることで、本研究に用いた内皮細胞の生理的条件に最も近い1.0Paの定常流が、より発達した3次元血管様構造を形成することがわかった。その原因として、せん断応力の大きさの増加により深い部位で葉状仮足の形成が促進し、深さ方向への内皮細胞の移動能力が促進したため、3次元血管様構造の形成が促進された可能性が考えられる。
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