2010 Fiscal Year Annual Research Report
野球の投球技術の検討~パフォーマンス向上を目指して~
Project/Area Number |
10J05993
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
永見 智行 早稲田大学, スポーツ科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 野球 / 投球 / ボール回転 / 手指 / 飛翔軌道 / コントロール |
Research Abstract |
本研究は,野球投手のパフォーマンス指標の中でも「キレ」,「伸び」といった感覚的な表現で表される性質の向上に向けたトレーニング法,指導法の確立を目的とし,身体動作,筋力発揮がボールの回転や球速に与える影響を明らかにするものである. まず一流投手のボール回転の詳細を明らかにするため,プロ野球投手,大学野球投手各11名の投じる直球のボール回転速度,回転軸角度を高速度ビデオカメラの映像から算出した.その結果,両群間に有意な差は認められなかったが,個々の特徴において感覚的な表現との関連を見出すことができた. 次に実際に投球されたボールの回転と飛翔軌道の関係を検討した.被験者は大学野球投手7名とし,様々な球種の投球を行わせた.この際のボール回転を1台の高速度ビデオカメラで撮影し,ボール回転速度,回転軸角度を算出した.またリリースから捕手の捕球までのボールの動きを3台の高速度ビデオカメラで撮影した.これらから,自由落下したと仮定した捕球位置と実際の捕球位置との差と,ボール回転軸角度を考慮したスピンパラメータとの間に高い相関関係が認められた. さらに直球投球時の手指の動作とボール回転の関係について検討し,ボールが回転するメカニズムを明らかにした.被験者はプロ野球投手5名,大学野球投手2名とし,直球を3球投球させた.この際のボールリリース前後約20msecの手指,ボールの動きを高速度ビデオカメラで撮影し,ボールの回転速度と示指,中指各関節角度を算出した.その結果,リリース前の各指のPIP関節伸展角度変化量とボール回転速度の間にはそれぞれ高い正の相関関係が認められた.このことからボール回転速度に指の動作が大きく影響している可能性が示唆された.
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