2010 Fiscal Year Annual Research Report
長距離花成シグナル物質FT蛋白質を介したTCP転写因子群の花成に対する機能解析
Project/Area Number |
10J06127
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丹羽 優喜 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 花成 / 側芽 / FT / TCP転写因子 |
Research Abstract |
FT蛋白質は転写制御を介して花成を促進すると考えられており、これまでにFT蛋白質はTCP転写因子と相互作用することを示している。本年度は、シロイヌナズナにおいてTCP転写因子をコードする24個の遺伝子のうち、19個の遺伝子について、T-DNAが挿入された変異体を取得し、その花成時期表現型の解析を行った。その結果、花成遅延表現型を示す4種のtcp変異体、および花成早化表現型を示す1種のtcp変異体を同定した。花成遅延表現型を示したtcp変異体背景においてFT遺伝子を過剰発現させ、その花成促進機能を顕著に抑圧するtcp変異の同定を試みているが、現在のところ有力な候補は得られていない。また、これまでに側芽の発達を抑制することが報告されていたTCP18遺伝子について、その遺伝子領域にT-DNAが挿入されたbrc1変異体を取得し、解析を行った。その結果、brc1変異体では、側芽分裂組織において形成される側生器官が葉から花へと切り替わるタイミングが野生型よりも早まっていることを見出した。ft変異体ではこのタイミングが野生型よりも遅れること、ft ; brc1二重変異体はft変異体と同様の表現型を示すことから、TCP18がFTの側芽における機能を阻害していることが示唆された。さらに、TCP18遺伝子のプロモーター領域をクローニングし、その制御下でTCP18とレポーターであるGUSまたはEGFPとの融合蛋白質を発現するコンストラクト(pTCP18::TCP18-GUSおよびpTCP18::TCP18-EGFP)を植物体に導入した。今後、これらの形質転換体を用いて、TCP18の詳細な機能部位の解析と下流遺伝子の同定を行うことにより、側芽における分裂組織の相転換の機構について明らかになると期待される。
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