2011 Fiscal Year Annual Research Report
長距離花成シグナル物質FT蛋白質を介したTCP転写因子群の花成に対する機能解析
Project/Area Number |
10J06127
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丹羽 優喜 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / 側芽 / FT / BRC1 |
Research Abstract |
側枝の発達制御は、植物体の形を決め、光資源の獲得や種子生産の場の拡大と、利用可能な栄養とのバランスを取る上で重要な要素である。シロイヌナズナにおいて、TCP転写因子群に属するBRANCHED1(BRC1/TCP18)は、側枝の発達・伸長を抑制することが知られている。これまでの研究で、酵母ツーハイブリット法およびBiFC法により、BRC1/TCP18とFTが蛋白質間相互作用する事を示した。さらに、BRC1/TCP18は側芽分裂組織の相転換を制御し、側枝の発達を抑制している可能性を示唆してきた。本年度は、花芽分裂組織のマーカー遺伝子であるAP1の発現レポーター系を用いて解析を行った。その結果、brc1-2変異体では、側芽分裂組織の相転換が野生型植物と比較して早まっていることが明らかになった。さらに、SOC1やFULなどの他の花成関連遺伝子の発現上昇も早まっていることをRT-PCR法を用いて示した。また、この相転換の早化はft-2変異により抑圧されたため、BRC1/TCP18はFTを介した花成促進経路を阻害していることが示唆された。また、FTと相互作用して機能することが知られているFDと、FTの下流因子であるSOC1についても、BRC1/TCP18との遺伝学的相互作用を調べた。それぞれの二重変異体を解析した結果、それぞれ側芽の相転換に対して異なった寄与を示すことが示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FT蛋白質と相互作用するTCP転写因子のうち、BRC1/TCP18がFTと相互作用することで、花成に関連した変化である側芽の発達・伸長に関わっていることが特定できている。さらに、FTとBRC1/TCP18の遺伝学的な関係も解析が完了している。当初はFTがTCP転写因子の活性を制御していると想定していたが、実際はBRC1/TCP18がFTの活性を抑制していることが示唆されたため、BRC1/TCP18の下流因子の同定は行っていないが、FTの下流因子に対するbrc1変異の効果を見ることができており、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
BRC1/TCP18が側芽においてFT蛋白質の機能を阻害することが示唆されたため、今後の研究ではその阻害メカニズムについての解析を行う。BRC1/TCP18とFTが蛋白質のどの領域で相互作用しているかを明らかにし、FT蛋白質の既知の相互作用因子に対する影響を明らかにする。また、側芽におけるBRC1/TCP18遺伝子とFT下流遺伝子の発現領域を比較することで、BRC1/TCP18の阻害効果が発揮されている部位を特定する。
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