2010 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸窒素同位体組成を用いた、微生物が駆動する海底下物質循環の解明
Project/Area Number |
10J06167
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 保彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アミノ酸 / 窒素循環 / 海底下生命圏 / 微生物 / 窒素同位体 / 海洋堆積物 |
Research Abstract |
1、三つのドメイン(真核生物・バクテリア・アーキア)を含む5種類の微生物を、特定の窒素源のもとで培養し、そのアミノ酸窒素同位体組成を調べた。その結果、アミノ酸窒素同位体組成のパターン・変動ルールが、三つのドメインを含む様々な生物間で共通であることが示唆された。アミノ酸窒素同位体組成はこれまで、動物・植物等で構成される生食連鎖の解析に非常に有効であると示されてきた手法だったが、微生物に適用可能であるかどうかは不明だった。しかし本研究により、微生物の現場における代謝(アミノ酸の合成もしくは分解)および生物地球化学的役割(特に窒素循環・有機物変質)を調べための、強力な手法になりうることが分かった。 2、海底堆積物のアミノ酸窒素同位体組成を分析するための手法開発・改良を行った。予備的な分析を行い、有機物変質に関する知見を得た。 3、統合国際深海掘削計画(IODP : Integrated Ocean Drilling Program)の一環として、米国のJOIDES Resolution号による研究航海(IODP Exp.329)が2010年10月9日-12月13日に南太平洋にて行われ、有機地球化学者として乗船した。本研究航海は、地球上で最も海水中の有機物生産量が低く、海水の透明度が最も高いことで知られる南太平洋環流域の海底を掘削し、低栄養・高酸素濃度の堆積物や玄武岩帯水層に生息する地殻内生命の実態を解明し、地殻内生命圏の規模や分布、代謝活性等を理解することを目的とする。船上では、堆積物・間隙水・ガス試料の有機・無機地球化学分析を担当し、プロジェクトの推進に大きく貢献した。また、陸上での詳細な分析のために堆積物コア試料を入手した。
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