2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロビーム照射法を用いた神経幹細胞の増殖・分化に関する放射線の影響
Project/Area Number |
10J06233
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
磯野 真由 首都大学東京, 大学院・人間健康科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経幹細胞 / マイクロビーム照射 / ブロードビーム照射 / 細胞増殖 / 分化 / 放射線影響 / DNA損傷 |
Research Abstract |
発達期や成体の脳における放射線障害のメカニズムの解明を、Neural Stem Sphere法によって調製したマウスES細胞由来の神経幹細胞を用いて、この細胞の特徴である自己増殖能と多分化能に注目し、細胞核のみおよび細胞質のみへのマイクロビーム照射によるDNA損傷由来もしくは非DNA損傷由来の影響、また、ブロードビーム照射による影響を評価することを目的とした。平成23年度はマイクロビーム照射法を用いて、細胞核への"狙い撃ち"照射を行うことで、細胞質への影響を最小限に抑え、DNA損傷(量)=照射粒子数に対する、神経幹細胞の自己増殖能への影響を評価することを目的とした。試料は、平成22年度に確立されたマイクロビーム照射実験のための試料作成法に基づいて作成した。神経幹細胞は増殖条件下で培養を行い、細胞の核へ狙い撃ちをした。照射粒子数は前年度のX線照射の実験結果に基づいて50、100、200、500発とし、照射粒子数に対する細胞の生存の割合を算出した。照射によって生存率の低下がみられたが、照射粒子数に依存して生存率が低下するかについては、各照射条件における生存率のばらつきが大きかったため、さらに試料数を増やす必要があることが判明した。また、放射線の影響評価の基準となる硬X線(200kVp)のブロードビームを用いた実験では、昨年度に引き続き増殖曲線を取得した。また、照射によるアポトーシスの誘発が見られるため、アポトーシス関連タンパクであるPARP(Poly(ADP-ribose)polymerase)の発現をウエスタンブロットにより解析を行った。照射によってアポトーシスが誘発することを確認し、さらにアポトーシス細胞を検出するための時間の見積もりをとることができた。今後は、増殖条件における更なる検討を行うとともに、分化誘導条件における影響も検討できるように適した分化誘導条件の検討も行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年3月に起きた東北地方太平洋沖地震の影響により、マイクロビーム細胞照射装置の稼動が長期に渡り見送られたが、わずかなマシンタイムの中で、マイクロビーム照射実験の研究の軸となる細胞の生存率に関しての傾向をあらかた提示することが出来た。また、ブロードビームによる実験結果からマイクロビーム実験に必要な条件に対する見積もりを取ることができた。したがって、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
外部研究機関で限られたマシンタイムの中で研究を遂行するため、引き続きマシンタイム前の打ち合わせを入念に行う。
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Research Products
(9 results)