2010 Fiscal Year Annual Research Report
動弾性学の周期境界値問題における高速多重極境界積分方程式法
Project/Area Number |
10J06564
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飯盛 浩司 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 弾性波動 / 境界積分方程式法 / 多重極法 / フォノニック結晶 / 前処理 / 計算力学 |
Research Abstract |
本年度は、弾性波動問題における周期多重極法(周波数域)の改良を行った。(1)Burton-Miller法による動弾性学の周期多重極法の改良。これまで開発してきたコードは、解析領域の補領域が無限遠を含んでおり、見かけの固有振動が起こり得ない問題のみを対象とするものだった。Burton-Miller法を適用することにより解析可能な対象が拡大した。応用として、球形の散乱体が平面2周期的に並んだ構造による散乱問題を取り扱った。この成果についてはすでに論文を発表した。(2)Calderonの式に基づく前処理の開発。多重極法では、境界積分方程式を離散化して得られる線型方程式のソルバに反復解法を用いることが必須であるため、解法全体の効率はその反復回数に大きく依存する。特に、周期問題に対してはWoodのアノマリ周辺で線型方程式の係数行列の性質が悪化するため、反復回数を少なく保つことが重要となる。したがって、反復回数を減らすため、前処理の検討を行った。Calderonの式により、係数行列を適切に並び変えると、係数行列を離散化する前の作用素の固有値の集積点はラメ定数によって決まる2つの定数となることが分かった。したがって、係数行列自身が有効な前処理行列(の逆)となっていることが分かった。さらに一旦このように適切に係数行列を並び変えると、前処理行列(の逆)を乗じず、そのまま反復法を実行した方が速く収束することが分かった。応用として、フォノニック結晶による弾性波の散乱問題を取り扱った。ストップバンドを有するような構造による散乱問題に対しても、提案手法は従来法に比べ、圧倒的に解析効率が向上した。この成果についてはすでに計算数理工学論文集に発表した。現在、外国誌への投稿準備中である。
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