2011 Fiscal Year Annual Research Report
広汎性発達障害の睡眠覚醒リズム異常とその改善に関する研究
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10J06634
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高須 奈々 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 広汎性発達障害 / ひきこもり / 社会不適応 / 睡眠・覚醒リズム障害 / 睡眠習慣 / 規則正しい生活 |
Research Abstract |
不規則な睡眠習慣を送る男子大学生に指定した就寝・起床時刻で1週間、規則正しく生活してもらい、普段の不規則な睡眠習慣の時と比べて、断眠が気分・感情に及ぼす影響に差が現れるのかを検証した。実験中は実験室にて24時間以上、寝ないで滞在してもらいながら、まず日中の状態を観察してから、その後、断眠によって変化していく様子を観察していった。その際、気分・感情はProfile of Mood States (POMS)を用いて「緊張」、「抑うつ」、「怒り」、「活気」、「疲労」、「混乱」状態を、State-Trait Anxiety Inventory-Form JYZ (STAI-JYZ)にて「状態不安」、「特性不安」を評価した。まず日中の状態であるが、規則正しい生活を送った場合、「緊張」、「抑うつ」、「怒り」、「疲労」は不規則な生活を送っている場合と比べて低下する傾向が認められた。その後、普段の就寝時間帯に突入すると(=断眠下)、不規則な生活を送っている場合では「緊張」、「抑うつ」、「怒り」、「疲労」は日中とほぼ同じ高いレベルで維持された状態で大きな変化は認められなかったものの、規則正しい生活を送った場合では不規則な生活を送っている場合と同レベルにまで上昇し、これらの状態は普段の起床時刻が到来した以降も持続する傾向が認められた。以上より、不規則な生活は断眠による影響を受けにくいものの、実際に活動する日中の状態を考慮すると規則正しい生活を送ることが望ましく、また規則正しい生活には夜更かしなど生活リズムが乱れるのを予防する上でも有効であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発達障害を持つ人や不登校・ひきこもり状態にある人に共通して認められる不規則な睡眠習慣と気分・感情状態の関係について、また気分・感情状態を改善させる睡眠の介入方法についての検証実験が当初の計画通り終わったところである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から規則正しい生活は生体リズムを適切に調節することで心身の状態を正常化させるのみならず、夜更かし等のような生活リズムが乱れるのを予防する上でも有効であることが示唆された。生体リズムは主に環境明暗サイクルの光によって制御されていることから、生活にうまく光を取り込むことで心身の状態をさらに向上させる方法について提案していきたい。
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