2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J06714
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 早希 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員-DC2
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Keywords | 精神疾患 / QTL解析 / 強制水泳テスト(FST) / 量的形質遺伝子 / Usp46 / GABA |
Research Abstract |
マウスの行動的絶望を制御する量的形質遺伝子のうち、QTL解析により検出された4番染色体上の原因遺伝子の同定を目標とした。C57BL/6Jマウスをバックグラウンドとし、4番染色体上の一部をCSマウスの染色体に置き換えた既存のコンジェニックマウスを使用した。コンジェニックマウスに強制水泳テスト(FST)を実施し、遺伝型と照らし合わせることで原因遺伝子の存在領域を絞り込んだ。FSTにおいて無動時間が短縮したコンジェニックマウスの遺伝型より、行動的絶望を制御する原因遺伝子は4番染色体上の約15Mbp(138.4-155Mbp)間に存在することが明らかとなった。さらに原因遺伝子存在領域を絞り込むため、FSTにおいて無動時間が短縮する既存のコンジェニックマウスとC57BL/6Jマウスを交配させ、組み換え個体を得た。現在、14系統のサブコンジェニック系統を育成している。そのうち、9系統はF1世代が得られた。さらにその中の3系統はF2世代が得られ、FSTを実施している。マウスの行動的絶望はヒトの抗うつ薬のスクリーニングに用いられてきた。このため、原因遺伝子の同定はヒトの精神疾患の原因解明に大きく貢献することができる。 前述のQTL解析を基に同定された5番染色体上の原因遺伝子"Usp46"の機能解析を行った。Usp46の詳細な機能や働きは不明であるが、GABA系に影響を及ぼすことが分かっている。この事から、Usp46突然変異マウスにおける脳内のGABA関連タンパク質について免疫組織学的手法を用いて検討した。GABA陽性細胞のマーカーとして利用されているパルプアルブミン(PV)を染色したところ、Usp46突然変異マウスの脳内PV陽性細胞数に変化は認めらなかった。この結果から、GABA生産量自体が減少している可能性が示唆された。
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