2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J06714
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今井 早希 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | QTL解析 / 強制水泳試験 / 尾懸垂試験 / Ubiquitin-specific peptidase / GABA / KOマウス / 行動試験 / 精神疾患 |
Research Abstract |
マウスにおける尾懸垂試験(TST)及び強制水泳試験(FST)の無動時間はヒトの抗うつ薬スクリーニングに用いられる指標である。そのため、この表現型を制御する責任遺伝子の同定、候補遺伝子の絞り込み、機能解析は、ヒトの精神疾患のメカニズムの解明や創薬に貢献できる。 (1)QTL解析により検出された4番染色体上のFST無動時間を制御する責任遺伝子の同定を目的とした。昨年度、4番染色体上の責任遺伝子は、約15Mbp(138.4-155Mbp)間に存在することを明らかとした。そこで、さらに責任遺伝子存在領域を絞り込むためにFST無動時間が短縮する既存のコンジェニックマウスとC57BL/6Jマウスとを交配させ、新たに11系統のサブコンジェニック系統を作出し、FST無動時間を計測した。その結果、いずれのサブコンジェニック系統においても無動時間の短縮は認められなかった。 (2)行動的絶望を制御する遺伝子Usp46の解明を目的とした。TST及びFSTの無動時間を制御する遺伝子のひとつはUsp46である。Usp46は脱ユビキチン化酵素であるが、その基質や関与する神経系などは不明である。そこで、Usp46KOマウスを作出し、薬理学的解析を行った。その結果、Usp46はGABA系を介する事が明らかとなった。さらに、様々な行動試験によって、KOマウスの表現型を解析した。その結果、TST、FSTだけでなく、Ethanol嗜好性、Ethanol鎮静効果、sucroseへの反応性、新規物体認知試験、Novelty-suppressed feeding testにおいて行動の変化が認められた。これらの結果は予想外のものであり、Usp46の機能を解明するうえで、重要な知見である。
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