2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗真菌活性をもつ巨大ポリエーテル天然物ガンビエル酸の効率的全合成と活性構造の解明
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10J06746
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石貝 和也 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ガンビエル酸類 / 全合成 / 鈴木-宮浦カップリング反応 |
Research Abstract |
ガンビエル酸類は食中毒シガテラの原因渦鞭毛藻Gambierdiscus toxicusから単離された巨大ポリエーテル天然物であり、非常に強力な抗真菌活性を有することが明らかにされている。しかし、天然からの試料入手が困難な微量成分であるため、その作用機構やその他の生物活性については未だに未解明である。また、複雑で巨大な分子構造のため、未だその全合成は達成されていない。本研究では、ガンビエル酸Aの効率的全合成を目指し、本年度は、ガンビエル酸Aの全合成に向けた検討を行った。前年度合成を達成したA/BCD環部フラグメントと別途合成した(F)GHIJ環部フラグメントを鈴木-宮浦カップリング反応により連結し高収率でカップリング体を得ることに成功した。続く3段階でC25位の立体化学を制御した。その後、F環の酸化的開裂を含む6段階で得たヒドロキシカルボン酸の山口ラクトン化によりE環に相当するラクトンを合成した。さらに、3段階で誘導したジエンに対する閉環メタセシス反応によりF環を構築し、これにより全ポリエーテル骨格の合成を完了した。このポリエーテル骨格の分子右側に対してJulia-Kocienskie反応を行うことにより分子右側側鎖を導入した。さらに、保護基の除去を含む4段階でガンビエル酸Aの初の全合成を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である全合成を達成し、また全合成によるサンプル供給が可能となったから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ガンビエル酸Aが強力な抗カビ活性を示す作用機構を解明する研究へと展開して行く予定である。具体的には、天然物の類縁体を合成し、これらの活性評価を行う。すなわち、構造活性研究を行うことで、本天然物のどの部分が実際に活性に影響しているかを明らかとする。
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Research Products
(2 results)