2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J06802
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大濱 晶生 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 天文学 / 星間現象 / 星団形成 |
Research Abstract |
2011年度の研究成果は、散開星団M20とNGC3603に付随する分子雲を発見し、また、衝突起源による起源形成と考えられる分子雲の候補天体を発見した。 (1)衝突による起源の星団形成と考えられる散開星団M20に付随する分子雲候補の発見 1つ目は、分子雲の衝突起源による大質量星を発見した。この候補天体は散開星団M20の方向に3つの分子雲がある。この内、2つの分子雲の温度が高い。また、2つの分子雲は十字の位置に散開星団M20が存在する。2つの分子雲の速度分散は約10km/sと大きく,これらの分子雲は重力的に束縛されていない。このような分子雲は、衝突起源の分子雲と考えられる。この成果はAetmphysical Journalに出版された。 (2)衝突起源と考えられる巨大星団NGC3603に付随する分子雲候補の発見 2つ目は、分子雲同士の衝突による巨大星団形成の候補を発見した。NGC3603は、Westerlund2と同程度の質量を持ち、年齢200万年と若い天体である。NANTEN2を用いたCO J=1-0輝線とJ=2-1輝線の観測を実施し、大きな速度分散(約20km/s)を持つ2つの分子雲が星団方向に存在することを発見した。この2つの分子雲の^<12>CO J=2-1/J=1-0の輝線強度比を調べた。この比が2つの分子雲両方で顕著に高い。したがって、この2つの分子雲は共に星団に付随しており、星団の母体であると考える。巨大分子雲の質量は約10万太陽質量であり、この20km/sという速度差を重力的に束縛できない。そこでWesterlund2と同様に、分子雲同士の衝突によって、NGC3603が形成されたというシナリオを提案した。この成果は2012年日本天文学会春季で発表し、現在、論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進行している理由は、星団形成機構を理解する二つの天体を発見したこと、新マルチ受信機のシステムを設計し始めたこと、衝突起源の候補天体が数十個見つかったためである。これらは計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の方針は、2011年度に発見された天体をオーストラリアのMOPRA望遠鏡により詳細観測を行い、分子雲の空間構造や物理量を明らかにし、次世代の星形成を理解することである。また、研究室所有の「なんてん」銀河面サーベイのデータから見つかった新規天体を、NANTEN2望遠鏡により追加観測することで、星団形成機構を理解する。最後に、他の銀河系にある巨大星団の形成を理解するためにALMA望遠鏡の観測提案を行い、銀河系内と系外にある巨大星団の統計的理解につなげる。
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