2010 Fiscal Year Annual Research Report
東地中海史再考 多地域資料の比較からみる北レヴァント文化の果たした歴史的意義
Project/Area Number |
10J06828
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Research Institution | Ancient Orient Museum |
Principal Investigator |
長谷川 敦章 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | テル・エル・ケルク / テル・ガーネム・アル・アリ / シリア・アラブ共和国 / 北レヴァント / 東地中海世界 / 後期青銅器時代 / ミケーネ / キプロス |
Research Abstract |
本研究では,大型遺跡の調査や地中海世界からの影響に偏っている北レヴァントの先行研究を顧み,中規模遺跡など北レヴァント内の周縁地域の調査,在地物質文化の検討,シリア内陸部を含めた北レヴァントの周辺地域との比較検討を行い,従来の偏った歴史像を再構築する。第1年目の本年度は,基礎資料の調査を中心に研究を実施した。主に受入研究機関である古代オリエント博物館での資料調査と,シリア・アラブ共和国での発掘調査を中心に行った。 4月から7月にかけて,受け入れ研究機関である古代オリエント博物館収蔵資料の調査研究を行った。本研究の基礎資料としてなる,後期青銅器時代おけるキプロス土器およびミケーネ土器などの東地中海系土器を観察・実測および写真撮影を行った。現在その成果を当館の研究紀要に発表できるよう原稿作成中である 研究対象地域である北レヴァントおよびユーフラテス中流域で発掘を中心としたフィールドワークを行った。 7月初頭から9月下旬までは,シリア・アラブ共和国イドリブ県に位置するテル・エル・ケルク遺跡の発掘調査及び出土遺物の整理・研究を行った。紀元前2千年紀後葉に年代付けられる層位を調査し,本研究の中核となる一次資料を蓄積し,基礎的な分析を行った。 10月初旬から11月初旬にかけて,シリア・アラブ共和国ラッカ県に位置するテル・ガーネム・アル・アリ遺跡の発掘調及び出土資料の整理・研究を行った。 これらの調査成果は,西アジア考古学会主催の第18回西アジア発掘調査報告会報告集に投稿し,国内研究者に対し公開している。また,海外研究者に対しては,Al-Rafidan誌に英語で投稿し調査成果を公表している。またこの調査成果を踏まえ,来年度6月に行われる西アジア考古学会においても研究発表する予定である。
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