2011 Fiscal Year Annual Research Report
早期診断の指針としての自閉性障害児における他者意図理解の発達過程の解明
Project/Area Number |
10J06862
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横田 晋務 東北大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自閉性障害児 / 他者意図理解 / 他者意図操作 |
Research Abstract |
本年度では,自閉症性障害児における他者意図理解と操作に関する研究動向の整理した結果,他者意図理解に関する先行研究は乳児期から児童期にかけて発達的な検討がなされている一方で,児童期における他者意図操作に関しては先行研究が十分ではなく,さらなる知見の蓄積が必要であることが明らかとなった。その際の1つの視点として,他者を欺く行為に焦点を当て先行知見の整理を行った結果,欺き行為が可能となる時期を巡り,用いるパラダイムや注目する行動の違いにより定型発達児,自閉性障害児児の両者において一致した見解が得られていないことが明らかとなった。また,欺き行為と関連する認知的処理過程に関しては,定型発達者を対象に実行機能との関連から検討されているが,定型発達児,自閉性障害児児においては実証的な検証が必要であることが明らかとなった。 また,自閉症性障害児における他者の意図や心的状態の理解の困難さへの支援について,1事例の集団遊戯療法における変容から考察をおこなった。自閉症性障害児における他者の意図や心的状態の理解の困難さは,理解の手がかりとなる要素へと注意を向けることの困難さ,様々な雑多な情報が存在する社会的文脈の中でその能力を自発的に使用することの困難さがその背景にあると考えられる。本稿で取り上げた事例の変容から,介入の視点として,注意の方向付けを行うこと,スキルの獲得ではなく,スキルの使用に重点を置いた支援が自閉症性障害児における対人関係支援を行うことの有効性が示唆された。
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