2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J06926
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高倉 久志 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミオグロビン / ミトコンドリア / 下肢灌流 / 細胞内酸素環境 / 水泳トレーニング / 骨格筋 / 近赤外線分光法 / 筋収縮 |
Research Abstract |
筋細胞内や心筋に存在するミオグロビン(Mb)は筋収縮開始直後から脱酸素化し、ミトコンドリアへの酸素供給源になるとともに、筋酸素消費量を上昇させる。また、筋酸素消費量や筋酸素消費速度の亢進に伴って、筋収縮時のMbからの酸素供給量は増加し、Mbからの酸素飽和度に基づいた細胞内酸素濃度は漸減的に低下した。これらのエビデンスから、Mb動態に基づいた細胞内酸素環境の変化が筋の酸素消費動態を規定する可能性が考えられた。さらに、筋収縮開始直後からMbがミトコンドリアへの酸素供給を可能にする一要因として、ミトコンドリアとMbとの共局在性が関与することが示唆されている。しかしながら、トレーニングや不活動のような身体活動水準に応じた筋収縮時の筋酸素消費速度の変化や筋酸素消費量の増減に対するMbの関与は不明であった。 そこで本年度は、持久的トレーニングが筋収縮時のMb動態やMbとミトコンドリアとの共局在性に及ぼす影響について検証した。本研究の主な結果として、持久的トレーニング後の筋酸素消費速度が上昇した骨格筋では、筋収縮時におけるMbからの酸素供給量が増加したことから、Mbが酸素供給担体としてより積極的にミトコンドリアへの酸素運搬に関与することが示唆された。その一方で、筋収縮中の細胞内酸素濃度には変化が認められなかった。また、持久的トレーニングによってミトコンドリアに共局在するMb量も増加しており、この共局在性の変化がMbからの酸素供給量を上昇させた一要因であるかもしれない。これらの研究成果は、トレーニングによってMb濃度が増加する生理学的意義を示した初めての研究である。 来年度は、ミトコンドリアとMbの相互作用の詳細や不活動モデルの研究について推進していく予定である。
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Research Products
(9 results)