2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J06944
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 暁志 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フロベニウス多様体 / 安定性条件の空間 / 箙の表現 / 概フロベニウス多様体 |
Research Abstract |
本研究の軸として考えていた、行列模型とGromov-Witten不変量との間の関係やEynard-Orantinの位相的漸化式を調べる際に、Frobenius多様体と呼ばれる幾何学的な構造がカギとなるので、その構造についての専門知識の取得し、以下のように研究を進めた。Frobenius多様体は、Gromov-Witten不変量やそれと等価であると予想されているDonaldson-Thomas不変量の壁超え現象を理解するための安定性条件の空間と非常に密接に関係があると物理学者により示唆されている。そこで、今年度は安定性条件の空間とFrobenius多様体の関係の研究を進めた。Frobenius多様体には、その双対的対象であり、Frobenius多様体にある種の変換を施すことで得られる、概Frobenius多様体と呼ばれる対象が存在する。この概Frobenius多様体は、弦理論の物理的な示唆から考えると、元のFrobenius多様体よりも安定性条件の空間との関連がよりはっきりと付けやすいと考えられる。そこで私は、頂点が2つで矢印がn本の箙の表現の導来圏の安定性条件の空間に概Frobenius構造を構築することを試みた。結果として、すべての構造を作ることはできなかったが、概Frobenius多様体の3つの公理のうち、2つまでは公理を満たす構造を、その安定性条件の空間のある開集合上に構築することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究のカギとなる数学的対象であるFrobenius多様体について、現在までにわかっていないことを研究して整備を進める必要があり、それに時間をかけているため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、現在のFrobenius多様体に関する研究をきっちり整理し、そのうえでそれを応用して本研究の当初の目的を遂行する。Frobenius多様体については、現在知られていることはだいぶ理解し、またその研究も進んでいる。
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