2010 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導転移端センサを用いた光子数識別器の開発とシュレーディンガーの猫状態の生成
Project/Area Number |
10J07182
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藪野 正裕 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 光子対生成 / 周波数相関制御 / 4光子干渉 |
Research Abstract |
実施した研究内容は,高効率光子対源の開発,開発した光子対源を用いた4光子干渉実験,光子数識別検出システムの開発の三点である.まず光子対源の開発では,光子対の効率的な生成手法であるパラメトリック下方変換において通常の位相整合に加えて郡速度の整合も満たすように設計されたPPKTP結晶を用いることにより,周波数相関を持たない光子対を通信波長帯において48,000pairs/mW/secという高い効率で生成することに成功した.周波数相関を持たない光子対は多光子量子干渉を行うための必須要素であり,開発した高効率光子対源は量子情報通信などの量子光学を応用した様々な新しい技術の発展に重要な役割を果たすものである.次に4光子干渉実験では,開発した光子対源で生成した周波数相関を持たない光子対を2組用いて4光子状態を生成し,マッハツェンダー干渉計を用いてそれらを干渉させることにより,多光子状態におけるド・ブロイ波長の縮短を通信波長帯において観測することに成功した.多光子状態における光子のド・ブロイ波長の縮短は,回折限界を超えた超高解像光リソグラフィや超高精度の干渉計への応用が期待されている.今回,開発した高効率光子対源を用いることによって通信波長帯において初めて4光子状態でのド・ブロイ波長の縮短を観測することに成功したことは,開発した光子対源の有用性を示すと共に,今後の通信波長帯における多光子実験の可能性を示す重要な成果である.最後に光子数識別検出システムの開発においては,超伝導転移端センサの出力信号をリアルタイムで処理して光子数を識別するための信号処理回路の開発を行った.この信号処理回路は,最適化フィルタと呼ばれるデジタルフィルタリング回路とその出力を識別し光子数を判定するディスクリミネータ回路からなるが,今年度はディスクリミネータ回路部分の開発を完了した.
|