2010 Fiscal Year Annual Research Report
合理的行為者性の観点からの、自己知とその一人称権威についての哲学的分析
Project/Area Number |
10J07325
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
島村 修平 日本大学, 文理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自己知 / 一人称権威 / 合理性 / 行為者性 / 透明性 / 命題的態度 / コミットメント / 外在主義 |
Research Abstract |
報告者の研究目的は、大きく分けて以下の五つである。 (1):自己知の問題に取り組むに当たり、諸先行研究と比較した上で、「合理的行為者性」に訴える分析が持つ優位性を示すこと (2):「合理的行為者性説」における先行研究に共通してみられる、説明としての実質性に関する弱点を指摘し、より説明としての実質を備えた形で「合理的行為者性説」を展開すること (3):(1)と(2)で得られた成果を踏まえ、「合理的行為者性説」の観点から、「命題的態度とは何か」という大きな問題に対する分析(「規範的機能主義」)を展開すること (4):「意味論的推論主義」という道具立てを用いた、「外在主義」と「権威的自己知」の両立の問題の解消 (5):(1)から(4)までの成果を踏まえた、規範的視点に基づく「クオリア問題」への挑戦 報告者は今年度、この中でとくに(1)から(3)の研究目的を中心に、研究活動を行った。また、その成果を「自分自身の心を知るということ:命題的態度を巡る哲学的ジレンマとその解決の試み」というタイトルの博士論文としてまとめ、2011年3月に以前所属していた東京大学大学院人文社会系研究科へ提出した。(なお、提出された博士論文は、現在審査中である。) また、研究目的(4)についても、2010年に科学基礎論学会で開かれた「自己知」を主題とするワークショップにおいて、提題者の一人として研究発表を行った。
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