2010 Fiscal Year Annual Research Report
地上磁力計と衛星・レーダー観測に基づく磁気嵐時の大規模電場の形成過程に関する研究
Project/Area Number |
10J07336
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻 裕司 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 磁気嵐 / 電場 / 電離圏電流 / 地上磁力計 / あけぼの衛星 / 電気伝導度 / 過遮蔽 |
Research Abstract |
電離圏の電気伝導度を仮定し地上地場変動から算出した電場と、あけぼの衛星により電離圏で直接計測された電場との定量的関係を、磁気嵐において調べた。これまで、中緯度領域において地上磁場変動と電離圏電場との間に良い対応関係があることを示したが、伝導度が高い領域(オーロラ帯)が急速に時間・空間変動する場合においては、経験的な伝導度モデルでオーロラ帯を再現できないため、対応関係が悪くなることが分かった。これは、地上地場変動から電離圏電場を定量的に算出するためには、現実に見合った伝導度モデルを開発する必要があることを示している。 磁気嵐における過遮蔽電流系の時間・空間発展を明らかにすることを目的として、高緯度から磁気赤道にわたるグローバルな地上磁場変動の統計解析を行った。その結果、赤道で逆向きの電離圏電流(CEJ)が観測されていた間、中緯度において過遮蔽に伴う逆向きの電離圏電流が現れていたことが分かった。しかし、それら電離圏電流の継続時間には隔たりがあり、赤道(70-470分)の方が中緯度(40-200分)より、平均して2.3倍長かった。これは、CEJが数十分の時定数を持つ過遮蔽電場だけでなく、数時間-10数時間の時定数を持つ電離圏擾乱ダイナモ電場によっても作られていることを示唆している。本研究の結果は、中緯度と赤道における電離圏電流の時定数を互いに比較すれば、過遮蔽電場の時定数の同定と、その電場と電離圏擾乱ダイナモ電場との分離が可能であることを表している。
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