Research Abstract |
Dual-SPDT(Single Pole Double Throw)RF-MEMS(Radio Frequency Micro Electro Mechanical Systems)スイッチ,および,そのスイッチとLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)移相回路によるKu帯4-bit型線路切換移相器に関する原著論文が,IEEE Journal of Micro electro mechanical Systemsで受理された.この論文では,(1)SOI(Silicon on Insulator)ウェハによる機能分離レイヤ分離設計,(2)シリコン深堀加工と電解金めっきによる新MEMSプロセス,そして,(3)MEMSスイッチとLTCC移相回路のハイブリッド実装手法とその実例を掲載した.これにより,本研究で提案したレイヤ分離設計を用いることで,従来よりも小型・低損失・低コストを可能にするディスクリート型RF-MEMSスイッチが,10GHz以上の高周波用途に実現できることを示した.次に,従来のコプレーナ導波路(CPW)と比較して,レイヤ分離設計によるエア分離CPWが小型・低損失化に優れることを,計算機シミュレーション(HFSS,ANSYS社)で理論検証し,作製したエア分離CPWで実証した.3次元電磁界シミュレーション結果より,エア分離CPW構造を用いた場合のギャップ長は通常CPW構造と比較して,高抵抗シリコン(0.01S/m)基板上では3分の1の寸法まで縮小できることを示した.また,エア分離CPWの高い電界閉じ込め効果により,導波路基板厚み100μmのSOIウェハを用いても低損失性を維持できることがわかった.また,CPW型水平駆動MEMS導波路の信号線とGNDとの静電容量結合の変化に関しても考察した.解析モデルと3次元電磁界シミュレータを用いた理論計算,および,SPDT型RF-MEMSスイッチの実測結果を比較・評価した.計算結果より,スイッチON/OFF時の空気ギャップの最小値が1.5μm以上であれば,高周波特性に与える影響は少ない(挿入損失変化<0.05dB/mm)ため,可動導波路駆動時の左右非対称性によらずデバイス設計が可能である.この新設計ルールにより初期設計が容易になり,MEMSと高周波回路の集積化をさらに促進できる.
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