2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J07763
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仲井 良太 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 量子スピン系 / トポロジカル絶縁体 / キタエフ模型 |
Research Abstract |
本年度は、キタエフ模型と呼ばれる2次元量子スピン模型の拡張についての研究を行った。キタエフ模型はスピン模型であるが、変換によって自由フェルミオン模型に書き換えることができるため、厳密に解くことができかつ近年盛んに研究されているトポロジカル絶縁体としての分類が可能である。また、変換された後の自由フェルミオン系ではトポロジカル不変量を計算することができ、このトポロジカル不変量が非自明な値を与える相において励起の統計性などに興味深い性質が現れることが知られている。キタエフ模型自身やこれまでに知られているほかの拡張ではトポロジカル不変量としてZ(整数)で特徴づけられるが、本研究においては二次元において時間反転対称性を保つように模型を拡張することで、これまでになかったZ_2のトポロジカル不変量で特徴づけられるトポロジカル相をもつ量子スピン模型を作った。ここでのキタエフ模型と本研究の拡張との関係は、整数量子ホール系と量子スピンホール系の関係と同じであり、本研究において量子スピンホール系に対応する量子スピン系を作ったことで、時間反転対称性を持つトポロジカルに非自明な2次元量子スピン系の性質を調べるためことができるようになるであろう。 本研究の具体的な研究内容としては、まず以前に共同研究者によって3次元ダイヤモンド格子上に拡張されたキタエフ模型を、2次元正方格子状に定義することで時間反転対称性を持ちつつ厳密に解くことのできる模型を作った。この模型を自由マヨラナフェルミオン模型に変換し、量子スピンホール系で定義されたZ_2不変量をもとめた。また、このZ_2不変量の値が端状態の存在を特徴づけていることを確認した。さらに端状態のあるトポロジカル相において端に沿った方向に対するスピン相関関数を求め、その冪が端状態を記述する共形場理論において予測されるものと一致することを確認した。
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Research Products
(2 results)