2010 Fiscal Year Annual Research Report
サイクロトロン共鳴を用いた強磁場中性子星におけるプラズマ物理学の研究
Project/Area Number |
10J07795
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
岩切 渉 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 連星X線パルサー / X線偏光 |
Research Abstract |
本年度の研究課題に対する一番の大きな進捗は、2010年12月~2011年2月の3ヶ月間アメリカのNASA Goddard Space Flight Centerに実際に赴き、"XACT"プロジェクトのメンバーになったことである。"XACT"とは、X線偏光計を観測ロケットに搭載し世界で初めて連星X線パルサーからのX線偏光を検出することを一つの目的としたNASAのプロジェクトであり、自身の研究課題を達成するためにも中性子星の磁場方向に制限を与えてくれるX線偏光の検出は極めて重要である。指導教官と相談の上、"XACT"のトップであるNASAのKeith Gendreau博士とコンタクトをとり、3ヶ月間Gendreau博士のもとで"XACT"の実験に参加することとなった。具体的に従事していたことは、X線偏光計の検出器較正用小型X線発生装置の性能評価である。非常に波長の短いX線偏光を観測するためには、検出器較正をどこまでの精度で行えるかがとても重要となり、上空でこの小型X線発生装置を用いる検出器較正方法は世界初の試みでもあるため、未来のX線天文衛星計画に関わる重要なロケット実験となる。Gendreau博士に自身の3ヶ月間の実験ぶりを認められ、今年12月に予定されている第一回目のロケット打ち上げに向けて是非再度渡米してほしいと依頼されており、今年度もNASA Goddard Space Flight Centerに赴く予定である。他の研究実施状況は、連星X線パルサー4U 1626-67の「すざく」衛星による観測データから、今まで吸収線としてしか見つかっていなかったサイクロトロン共鳴線がある自転フェーズでは輝線となることを発見したことについて論文にまとめ、現在NASAのLorella Angelini博士に最終チェックを依頼しており、これが終わり次第学会誌に投稿予定である。
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