2010 Fiscal Year Annual Research Report
介護介助支援ヒューマノイドに向けた対人感覚統合認識行動と適応的全身動作制御の実現
Project/Area Number |
10J07818
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野沢 峻一 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヒューマノイド / 重量物品操作 / 全身動作生成制御 / 操作力推定 / 操作戦略決定 |
Research Abstract |
介護支援動作では、従来研究でヒューマノイドが扱ってきた対象よりも大きく重量な対象を扱えるかどうかが主要な問題となる。本年度は介護支援動作を行うための基本的となるヒューマノイドの様々な大きさ重さの物体(長さは最大で1.7[m]程度、質量は最大で12[kg]程度)の操作を行う自律的動作生成制御法について研究開発を行った。また後述の要素技術1.2.3に関して、国内国外発表、論文誌への投稿を行った。本年度考案したシステムを介護支援動作へと拡張するためには、関節やリンク構造を持つ対象を環境や対象と全身で接触しつつ動作する必要があり、以降の年度では対人認識機能とも統合を行い発展させる予定である。 1.物体を操作するための必要操作力推法 重量物体・質量未知な物体の扱いを可能にするために、物体操作力推定モジュールを考案し動作生成制御システムへと組み込んだ。物体操作力推定モジュールは「試しに持ち上げる」動作を行う機能に相当する。物体操作力推定モジュールは、計測された反力に基づいて物体の動きを検知する推定計算と、物体への作用力増加を行う制御計算の2種の計算により成り立っている。物体の動きが検出できたときの計測反力から必要操作力を推定することにより、対象の質量が未知な物体の必要操作力をシステムが計測できる。 2.操作戦略決定に基づく長周期動作計画法 長周期的な動作計画では、単腕で持つか双腕で持つか全身で抱えるかといった操作戦略を自律的に決定する戦略決定法を考案した。操作戦略は従来研究では既知として扱われていた。本年度考案した操作戦略決定法は物体の必要操作力に応じて自律的に操作戦略を決定・変更することで、3.のような局所的な動作修正では得られない操作範囲と耐荷重の向上が得られた。また、ヒューマノイドの物体操作では考慮すべき制約条件が多いという問題がある。本研究ではリンク間干渉回避、ロボットの関節可動限界回避、アームの可到達範囲、全身関節の耐荷重、バランス維持、負荷分散制御を考慮した。これらの制約条件はそれぞれ考慮すべき周期が異なるため、バランス維持と負荷分散制御は3.で行い、残りの制約条件は長周期的な動作計画2.で考慮し動作生成を行った。 3.短周期力バランス制御法 短周期の制御系により目標反力制御と外力に応じたバランス制御を考案し実装した。目標反力は1.モジュールにより推定された値であり、1.と3.の統合は必要操作力への追従と不要な負荷分散を行えるという意義がある。バランス維持機能は脚部力センサによる補償量計算を行うことで、上半身であれば任意の箇所で物体と接触しバランスを維持することが可能となった。
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