2010 Fiscal Year Annual Research Report
近代国家/国家間システムの動態:プーランザス国家論のアクチュアリティ
Project/Area Number |
10J07823
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
柏崎 正憲 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国家 / グローバル化 / 国家間システム / 権力理論 / 構造主義 / 西欧マルクス主義 |
Research Abstract |
2010年度の研究内容は、「研究の目的」にもあるように、主として、英語圏およびドイツ語圏におけるプーランザス国家理論の再評価の潮流へのサーヴェイとなった。資料調査は主要には国内で可能であったが、海外での調査の必要もあったただし、英語よりもドイツ語における再評価の仕事のほうが質・量ともに上であることが分かったため、「研究実施計画」にあったカナダ・トロントへの調査出張の計画を変更し、実際にはフランスおよびドイツでの資料収集を行った。また、ドイツへの出張時においては、幸運にも、プーランザス再評価の一翼を担うアレックス・デミロヴィッチとの意見交換の場をもつことがてきた。これらの調査の中間報告は、学内紀要に投稿してある(掲載決定、次年度に刊行予定)。 以上の研究のもつ意義は次のようなものであると考えられる。「研究の目的」においては「一国的視点ではなく「国家間システム」というアプローチを盛り込みながら、近代国家/国家間システムとその動態とを分析する諸カテゴリーを案出していく」ことを掲げていたが、このような問題関心からプーランザスの国家理論の再評価を行っている先行研究が、ドイツにはあることが判明した。これは本研究への重要な参考軸となっていくだろう。そして、このように一国レベルの分析枠組と「国家間システム」の枠組とを接合していく試みを紹介・採用することにより、過去(とくに1970年代以降)の国家理論をほぼもっぱら一国的枠組でのみ受容してきた日本の研究水準を押しあげることに、今後つながりうるという点で、2010年度における本研究は重要性をもっと考えられる。
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Research Products
(2 results)