2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J07901
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
長津 結一郎 東京芸術大学, 大学院・音楽研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 障害/障害者 / LGBT / 障害学 / クィア理論 / 社会的排除/包摂 / 参与観察 / 文化政策学 / 芸術 |
Research Abstract |
本研究の主領域である文化政策・アートマネジメント分野と社会的包摂についての状況の把握に努めた。マイノリティの表現をアートとして扱う際の表現主体の問題や、マイノリティ自身の成長ヘアートが寄与するという福祉本位の視点が明らかとなった。芸術文化の分野において社会的包摂を検討する上では、自立支援や療法的な意義のみならず、様々な観点での社会参画や自己の可能性の拡張、また更には排除されているコミュニティが新しい社会をつくるべく政策提言を行う点まで視野を広げて検討すべきであることがわかった。またその側面で検討すると、文化政策学分野における社会的包摂の議論については、創造都市論やマーケティング論等の経済的側面のみに大方留まっており、「包摂する/包摂される」という関係性の「障壁」は硬直したままであることも指摘できた。 また障害者の存在を中心に据えた「公共」のあり方を模索する先進的なアートセンターと、障害者施設における障害者の自由・自律を肯定することに資するような表現活動の調査を通じて、障害者とアーティストがともに表現活動をする際のポジショナリティについて検討した。また全国5か所で開催されているLGBT映画祭にそれぞれスタッフとして参与観察を行い、社会運動との関連性や、マイノリティ間での権力性、上映作品選定の基準などのさまざまな尺度について比較研究を行った。また青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバルの実行委員にインタビューを行い、非当事者と当事者のゆるやかな連帯による映画祭について調査研究を行った。
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