2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J07901
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
長津 結一郎 東京芸術大学, 大学院・音楽研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 障害/障害者 / LGBT / 障害学 / クィア理論 / 社会的排除/包摂 / 参与観察 / 音楽療法 / 芸術 |
Research Abstract |
昨年度より障害者問題やセクシュアル・マイノリティについて検討した諸問題について、より大きな議論へとシフトできるよう、いくつかの試みを行った。日本音楽学会では、「実践音楽学」という新しい領域について提案するフォーラムに登壇し、自らの立ち位置から発表を行いつつ、コミュニティ音楽療法や新音楽学など、音楽学や音楽療法学の領域で近年活発になっている議論を横断的に概観することができた。特に、芸術そのもののみならず芸術がおかれる社会的状況まで踏まえて「芸術」として検討する振る舞いや、セラピスト/クライエントの協働という観点については、自らの既往研究とも合致する点が多く、さらに掘り下げて共通点を探るべき事象であることが確認された。また、日本アートマネジメント学会・日本文化政策学会においては、アートプロジェクトの近年の在り様や、そこに内在する「歓待」を再考する発表を行なった。いずれにせよ、芸術活動において関わり合う、さまざまな背景をもつ人々の関係性の変容をどのように論説することができるのか、横断的な議論としての博士論文を執筆するうえでの準備を整える時期となった。 フィールドワークによる実態調査等については、昨年度に引き続き、LGBT映画祭のフィールドワーク・インタビュー調査を行い、結果の一部をクィア学会にて発表した。また、東日本大震災以後の芸術活動等の動きについて、おもに障害者支援の現場から意見を伺うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
障害者芸術やセクシュアル・マイノリティの当事者による活動に積極的に参画することで、より理論のうえでの議論を充実させることに成功している。また、それらの議論を実践に還元させ、理論と実践の往還を実現させることにも成功しているように思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで取り扱ってきた議論をもとに、おもに障害者芸術に関してを主要なテーマとした博士論文を執筆する予定である。その際に、これまでの活動をもとに、理論と実践の往還を通じて得られた知見についてとりまとめる。
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