2011 Fiscal Year Annual Research Report
銀ナノ粒子-酸化チタン複合系における多色フォトクロミズムの機構解明と機能改善
Project/Area Number |
10J07956
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田邉 一郎 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属ナノ粒子 / 光化学 / 局在表面プラズモン共鳴 / 酸化チタン |
Research Abstract |
銀ナノ粒子一酸化チタン複合系の機構解明と機能改善を目的として、酸化チタン上に析出させた銀ナノ粒子の光電気化学的性質・挙動の観察と、サイズを制御した銀ナノ粒子の析出を行った。 酸化チタン微粒子膜上に光触媒析出させた直立銀ナノプレートを、暗視野顕微鏡とAFMによって同時に観察することで、一粒子レベルでの光電気化学的特性や挙動を解析することが可能となった。その結果、プラズモン共鳴波長の光照射による直立プレートの転倒と、それに伴う共鳴波長のレッドシフトが確認され、このことはシミュレーション結果からも支持された。さらに、直立銀ナノプレートに特徴的な偏光特性を確認し、可視偏光あるいは近赤外偏光を照射することで本系の偏光特性を制御することにも成功した。これら偏光特性制御は、認証や偽造防止にも利用することができると期待できる。これらの研究成果は、アメリカ化学会(ACS)の学術雑誌「J. Phys. Chem. C」において報告した。 さらに、水中で偏光を照射することで、共鳴プレートを配向選択的に転倒させるだけでなく、基板から除去することも可能となった。また、この一粒子レベルでの暗視野顕微鏡-AFMの同時観察は、本研究の目的とする銀ナノ粒子一酸化チタン複合系の機構解明・機能改善に大きく貢献できる手法である。 また、ニオブ(Nb)をドープした導電性酸化チタン単結晶上に銀イオンを吸着させ、AFMを利用して特定箇所に電圧を印加することで、任意の場所にのみ銀ナノ粒子を析出させることができた。印加電圧の大きさ、あるいは印加時間を制御することで、析出粒子のサイズをある程度制御することもできた。 本研究を進めていくことで、サイズを制御した銀ナノ粒子を析出させるだけでなく、粒子間距離や配列を制御した銀ナノ粒子団を析出させ、これらの光電気化学的性質・挙動を観察することが可能となると期待される。
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