2010 Fiscal Year Annual Research Report
ベクトル中間子核内質量分布の高統計精密測定によるハドロン質量起源の研究。
Project/Area Number |
10J08082
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 陽介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(CD1)
|
Keywords | ハドロン / 質量の起源 / J-PARC / PHENIX / GEM / HBD / 国際研究者交流 / アメリカ:イスラエル |
Research Abstract |
当該研究者はハドロンの質量起源の探求を目的とするJ-PARC E16実験に従事する。この実験の遂行には二つの検出器の開発が必要である。一つはGas Electron Multiplier(GEM)を用いた位置検出器であり、もう一つは電子同定用ガスチェレンコフ検出器(Hadron Blind Detector以下HBD)である。平成22年度の研究実施計画ではこの二つの開発を平行しておこなっていく予定であったが、結果としてHBDに多くの時間を費やした。具体的に行った内容は、アメリカのPHENIX実験のデータを用いたHBDの性能評価である。HBDとはそもそもPHENIX実験のアップグレードとして開発された新しいタイプの検出器である。そのため、HBDが実際の実験で使用されているという例は他になく、このデータを解析し性能を評価することは、E16スペクトロメータの最終デザインを作る上で非常に重要である。解析の結果、陽子陽子衝突や金金の周辺衝突に比べて生成粒子数が多い金金の中心衝突では、より複雑な解析が必要であるということがわかった。当該研究者は金金の中心衝突の場合にもっとも性能をひきだすためのアルゴリズムの開発を行った。それを用いた最終的な質量分布へのHBDの影響の評価は現在進行中である。以上のHBDの研究はイスラエルのワイツマン研究所と協力して行った。ワイツマン研究所はPHENIXのHBD開発で主要な役割を果たした研究所の一つである。当該研究者もワイツマン研究所を合計半年程度訪れ議論をした。
|